押印の廃止について

押印の廃止について

こんにちは。
ここ最近の行政書士の仕事で大きく変わった点として、押印の廃止があります。
押印の廃止は、これからのデジタル時代をみすえ、これまでは、書面・対面が原則だった行政手続きにおいて、デジタル化の推進、テレワークの活用、書面・対面規制の見直しなどの一環として取り組まれている政策です。

現在、行政手続きのうちの99%以上が押印の廃止の決定、または廃止の方向で検討されているということですから、ほとんどの手続きにおいて押印の必要がなくなってきている状態です。
そして、そのことは、我々行政書士の仕事のあり方にも大きく影響しているところでもあります。

押印廃止によって変わったこと

これまでは、ほとんどの行政手続きにおいて押印が必要でしたので、我々の仕事の中でも重要な一部にクライアントからハンコを押してもらうという作業がありました。
押印は、基本的に対面で行われるものですので、クライアントの営業所に押印してもらうために伺ったり、あるいは、行政書士の事務所に来ていただき、押印を行う作業が必要でした。

また、行政手続きでは、申請書類を作成するため、あるいは添付書類に必要な書類として、複数の役所に出向き、これらに必要となる書類を集めるという作業もあります。
この場合も、それぞれの役所ごとで取得する書類のために、クライアントから申請書や委任状に押印をもらう必要がありました。
このため、書類集めのためだけに押印をもらい、さらに申請書類にも押印をもらうという、申請の内容によっては、押印をもらうために何度もクライアントのところに出向く必要がありました。
さらには申請時に補正が入ると、そのたびごとに再度押印をもらうためにクライアントの営業所に出向く必要もありました。

これが、ほとんどの行政手続きで押印が廃止されたため、押印をもらうためだけに何度もクライアントのところに足を運ぶという必要がなくなりましたので、我々の仕事にとってはとても大きな影響があったといえるでしょう。

押印廃止であっても気を付けるべき点

ただし、行政書士は、法に定められた業務を代行する立場ですから、気を付けなければいけない点もいくつかあります。

たとえば、行政書士とクライアントの間での本人確認の手続き等は、厳格に行う必要があります。
また、委任内容の意思確認等もきちんと行うべきでしょう。
これまでは、委任状には押印が必要でしたが、行政手続きにおいても委任状に押印が必要なくなりました。
この点では、行政書士の仕事としては非常にやりやすくなったのですが、当たり前ですが委任内容の意思表示の確認は大切です。
本来委任内容に含まれていない業務を勝手に委任してもらった形にすることは許されません。
後々のトラブルにつながらないためにも、委任内容の意思確認は行政書士とクライアントとの間できちんと行っておくべきでしょう。

また、押印の廃止が進んでいるとはいえ、まだまだ押印が必要な場面があったり、実印等が必要な場面では、押印が廃止されていない手続きも存在します。
このあたり、どの書類の押印が必要なくなり、どの書類の押印が必要なのかは、事前に確認しておくようにし、スムーズに業務を進めていく必要がありそうです。

押印の廃止は、現在進行中ですので、これからもどんどんと状況が変わっていくでしょうが、また情報の提供ができればと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。

 

2022年7月29日 N様ご執筆(大阪会)

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1件のコメント

  1. F(愛媛会)

    F(愛媛会)です。
    私の最寄りの役所では、県税の納税証明書(建設業許可申請や建設業決算変更届に添付したりします)を取得する際の委任状に、申請者様の押印を今なお求められております。
    一方で、税務署発行の納税証明書や、市役所発行の住民票・身分証明書、法務局発行の登記されていないことの証明書には押印が不要との扱いになりました。

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