遺産分割協議で必要な戸籍を集める方法を解説します

遺産分割協議は、すべての相続人を確定するところから始まります。相続人を確定するには、被相続人の「出生から死亡まで」の戸籍謄本等が必要です。この「出生から死亡まで」の戸籍謄本等をどのように収集すればいいのか解説をします。

どんな戸籍が必要か
最初に、相続人の確定に必要な、被相続人の「出生から死亡まで」の戸籍謄本等について説明します。
たとえば被相続人が次のような経緯で戸籍を移したとします。

1. A市で出生
2. 婚姻により、B市で入籍
3. C市に転籍
4. 死亡

この場合、C市の戸籍から遡り、B市とA市の戸籍謄本を取得します。しかし、単に3通の戸籍謄本の入手で、必要な作業が終了することは、現実にはほとんどありません。戸籍謄本だけでなく、改製原戸籍謄本や除籍謄本が必要なことがあるからです。

改製原戸籍謄本とは
戸籍法の改正で、戸籍の様式が変更されると、新しい様式の戸籍に書き換えが行われます。コンピュータ化による戸籍の改製が行われた場合、手書きによる改製原戸籍が交付されます。

請求した市区町村に改製原戸籍がある場合は、戸籍謄本と合わせて請求をします。

除籍謄本とは
戸籍の中に入っていた人が全員いなくなった戸籍の写しを除籍謄本といいます。死亡、結婚、転籍により、戸籍から除かれていきますが、最終的に全員が出ていったり死亡したりした戸籍が除籍です。

戸籍謄本を郵送で入手する
戸籍謄本は、戸籍のある市区町村の窓口で直接請求するのが基本的スタイルです。しかし、複数の市区町村に戸籍があるといった、直接の請求が煩雑な状況であれば、郵送によって入手することもできます。

ここでは、戸籍謄本等を郵送で入手する方法を説明します。

必要書類
戸籍謄本を郵送で請求する場合、次のような書類が必要です。

● 戸籍謄本等郵送請求書……市区町村のホームページから入手します
● 請求者の本人確認書類の写し……運転免許証、マイナンバーカードなど
● 定額小為替……手数料相当分
● 返信用封筒・切手……返信先は、原則として請求者の住民登録地です。
● 委任状……行政書士などの資格者が職務上請求書で請求する場合は不要です。ただし、資格証明書の写しを添付します。

手数料
市区町村によって異なりますが、一般的なケースは次のとおりです。

● 全部事項証明書(戸籍謄本)……450円
● 除籍謄本・抄本……750円
● 改製原戸籍謄本・抄本……750円

支払い方法
手数料相当の金額の定額小為替を必要書類と同封して送付します。一部、現金書留による納付を認めている市区町村もあります。

定額小為替は、郵便局で購入できます。額面が50円、100円、150円、200円、250円、300円、350円、400円、450円、500円、750円、1000円の12種類があります。

額面とは関係なく1枚あたり、200円の手数料がかかりますから、高額の場合、枚数が少なくなるような額面の組み合わせをした方が経済的です。

気をつけたいこと
戸籍謄本の請求は、各市区町村とも同じ業務をしていますが、細部のルールや手数料で、微妙な違いがあります。

たとえば、行政書士が職務上請求で戸籍謄本の請求をした場合、資格証明書の写しのみでよい場合と、合わせて本人確認書類の写しが求められる場合があります。

分からないことは、電話での確認が最も確実ですが、気をつけたいのは、対応してくれるのはベテラン職員ばかりではないということです。新人や異動後間もない職員。あるいは嘱託、アルバイト、委託業者が対応することがあります。

そのため接客スキルに顕著な差があります。対応がぞんざい、説明がわかりにくいといった、相手方の対応に不満を感じた場合は、遠慮なく上司や他の職員に代わってもらうよう申し出ましょう。それが、二度手間、料金不足などのミスを出さないための最大の防御策となります。

戸籍謄本の請求は行政書士に依頼を
戸籍謄本の取得は、戸籍の読み取りをして順に出生まで遡る必要があるため、大変根気のいる作業です。

戸籍の読み取りに慣れた行政書士に戸籍の請求を依頼することで、スピーディーな取得が実現します。

また、相続人間に争いのない遺産分割協議書の作成は、行政書士の業務です。戸籍の請求と合わせて遺産分割協議書の作成を行政書士に依頼をすることで、相続手続をスムーズに進めることができます。

 

2023年1月14日 T様ご執筆(滋賀会)

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