常勤役員等及び常勤役員を直接補佐する者

こんにちは。

建設業法は、よく改正されるのですが、令和3年にも改正が行われました。
この改正では、経営業務管理責任者の条件が緩和されることになりました。
経営業務管理責任者は、経営者としての経験年数が必要なため、要件に満たせる人材が不足するというのは、どの会社でもよくあることです。
経営業務管理責任者は、少しずつではありますが、要件が緩和されてきていますので、昔よりは該当する可能性が出てきているのも事実です。
ただ、この令和3年の改正に関しては、非常に複雑な要件になっているので、なかなか理解しにくい部分になっています。
今回はそこを解説します。

従来の経営業務管理責任者の要件

改正前までは、経営業務管理責任者になるためには、建設業での経営経験が5年必要で、準ずる地位であれば6年が必要でした。
この場合、役員を経験した会社が建設業を営業していること、その建設業を営業している会社で役員を5年以上していたこと又は準ずる地位として6年以上していたこと、という2つの要件を満たす必要がありました。
ある会社で役員をしていた期間が5年以上あったとしても、その会社が建設業と全く関係のない会社の場合、経験年数としては認められませんでした。

今回の改正による経営業務管理責任者の要件

今回の改正では、新たな要件が追加されました。
従来の要件はそのまま通用するので、そちらを満たせる方はそれで問題ないのですが、新たな要件としては、建設業としての役員経験は2年以上あればよく、それ以外の業務での役員経験が通算5年を超えればいいというものです。
従来は、建設業での役員経験が5年以上というのが条件でした。
改正後は、建設業での役員経験は2年以上、それ以外での役員経験が3年以上あれば通算5年を超えますので、要件を満たすことができるようになったのです。
ただし、要件はこれだけではダメで、この場合、さらに常勤役員等を直接に補佐する者を置くことが必要となっています。

常勤役員等を直接補佐する者

この常勤役員等を直接補佐する者とは、建設業者で5年以上の財務管理、労務管理、業務運営の経験を有している者となっています。
満たす経験は3つありますが、同一人物がすべて満たしている場合でも問題ありません。
ただし、この経験は、申請する会社で満たしている必要があります。
建設業を取得しようと申請する会社で5年以上経験している必要があり、別法人等での経験は認められていません。
ですので、新規設立の会社や設立から5年に満たない会社が、この常勤役員等を直接補佐する者の要件を使って取得することは難しい状況です。

経営業務管理責任者の要件は、少しずつ緩和されているものの、会社様によってはまだまだ厳しい要件であることも事実です。

また、今回の改正後の要件は、非常に複雑であり、まだまだ事例も少ない案件ですので、法律や解釈、ガイドラインをきちんと確認してから対応にあたるようにしましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

2023年1月31日 N様ご執筆(大阪会)

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