遺産分割協議書の作成業務についての解説

遺産分割協議書とは、相続人全員によって合意した内容を書面にまとめた文書のことです。法定相続とは異なる不動産の相続をする場合や預貯金の名義変更の際に遺産分割協議書が必要になります。

遺産分割協議書作成の進め方
遺産分割協議書作成の進め方と記載方法について、ご説明します。

遺産分割協議書作成前の準備
遺産分割協議書作成では、事前に次のような準備が必要になります。

① 遺言書の確認をする……有効な遺言書があれば、基本的に遺産分割協議書は必要ありません。
② 戸籍を収集して相続人を確定する……被相続人(亡くなった人)の出生から死亡までの戸籍等を取得します。
③ 相続財産の調査をする……被相続人に関する不動産、金融資産、有価証券、生命保険等の権利状況を把握します。

相続人を集める
全相続人に遺産分割協議をする旨の連絡をします。

遺産分割協議では、相続人全員で、どのように相続するのかについて話し合いをします。病気などの理由で参加できない場合は、電話や書面で協議を行い、その内容に全員が納得すれば問題はありません。

その場合、遺産分割協議書を郵送し、署名と実印を捺印してもらい印鑑証明書を添えて返送してもらいます。

遺産分割協議書の形式
遺産分割協議書の形式は特に法律で定められているわけではありませんが、次の事項は必ず書き込まれていなければなりません。

① 被相続人の死亡時の住所、本籍、氏名、生年月日、死亡年月日
② 相続人の氏名
③ 相続人全員の合意により遺産分割協議が成立した旨の文言
④ 遺産分割の内容……財産を特定し、その財産を取得する相続人を記載する。

内容を確認したら、協議をした日付を記載したうえで、相続人全員が署名と実印を捺印し、印鑑証明書を添付します。作成部数は、基本的には相続人一人につき一通ですが、必要に応じて追加をしても問題はありません。

本文の最後に遺産分割協議書の文例を示しますのでご参考にしてください。

遺産分割協議書作成で行政書士ができること
行政書士は、相続人間に紛争のない遺産分割協議書の作成を行うことができます。

またその前提となる次の業務も行えます。

● 被相続人の所有している財産を把握するための相続財産の調査
● 遺産目録の作成
● 戸籍謄本を取り寄せて相続人調査
● 相続関係説明図を作成

遺産分割協議書作成業務は、弁護士以外では、司法書士や税理士も行うことができます。ただし、それぞれ制約があり、無条件に行えるわけではありません。

司法書士の場合
司法書士は、登記申請に関する遺産分割協議書を作成することができます。ただし、登記申請と無関係に遺産分割協議書を作成することはできません。

税理士の場合
税理士は、相続税で「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」等を適用する申告をするために、申告書の添付書類として作成する場合に限り、遺産分割協議書の作成ができます。これと無関係に遺産分割協議書を作成することはできません。

 

遺産分割協議書の文例

2023年2月12日 T様ご執筆(滋賀会)

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