公証役場に関わる業務を行う際の注意点とは?

行政書士が取り扱う業務には、会社設立の際に必要となる定款の認証や公正証書の作成など、公証役場に関わる案件が多くあります。ここでは、離婚協議書を公正証書にする業務を例に取り、公証役場に関わる業務の注意点をご説明します。

■公正証書とは?
多くの場合、当事者間で合意したことは、「契約書」を作ることで、トラブルを回避出来ます。しかし、遺言書とか離婚協議書など、しっかりした法的な裏付けを基に作成されていないと、後々トラブルが発生し、裁判などに発展しかねない案件もあります。

このような事態を避けるために、法律の専門家に内容を確認してもらった上で、法律的に問題のない文書を作り、確実に保存して置く必要があります。

これが、「公正証書」です。そして、その公正証書を作成する場所が「公証役場」、内容を確認する法律の専門家が「公証人」です。

■公正証書作成の流れ
依頼者から「離婚協議書」を公正証書したい旨の依頼を受けた行政書士は、まず公正証書の原案となる「離婚協議書」を作成します。

その際に、離婚する(または離婚した)夫婦が、どのような取り決めを行ったか、あるいは行う予定なのかを詳しくヒヤリングします。このヒヤリングを基に、「離婚協議書」の原案を作成し、夫、妻それぞれに内容を確認してもらいます。

両当事者からOKをもらったら、公証役場に連絡を取り、担当者に「離婚協議書」をメールまたはFAXで送ります。担当者から内容に関する確認や指摘があった場合には、調査を行い、回答します。もちろん、依頼者に確認しなければ分からない事項については、連絡を入れて確認します。

そして、担当者からOKが出たら、公証役場に行きます。そして、公証人から内容の確認があり、問題なければ、「公正証書」が完成します。

■公証役場を利用する際の注意点とは?
行政書士は、依頼者に代わって、公証役場の担当者とやり取りを行いますが、ここで最も大事なことは、はじめの「離婚協議書」の内容が少しでも変更になりそうな場合には、必ず依頼者に確認することです。

「これくらいの変更なら確認しなくも大丈夫だろう」という独りよがりの判断は厳禁です。少しの文言や表現の変更が、後で大きな意味を持つ可能性が出てくるからです。さらに、担当者から、内容の変更を求められた場合には、その変更の意図を担当者に確認し、十分理解した上で、依頼者に分かりやすく説明する必要があります。

また、公証役場の担当者に対して、内容に少しでも疑問点があれば、遠慮なく質問する姿勢も大切です。依頼者は行政書士を頼って、公正証書の作成を依頼しています。その信頼に応えるためにも、曖昧な点を出来るだけ排除するように心がけなければなりません。

■まとめ
公証役場は、ほとんどの人にとって馴染みがない場所です。公証人と直接話す機会も皆無に近いでしょう。行政書士は、依頼者と公証役場・公証人をつなぐ役割を担うことになりますが、あくまでの依頼者の意向に沿った内容の「公正証書」になるよう、細心の注意を払うべきです。

 

2022年5月9日 I様ご執筆(福岡会)

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